【独身貴族のグルメな日常】『第一話』おまえ、美味しいもの知ってるの?

まず彼の自己紹介をしよう。

名前はユウタ37歳。

IT企業を経営している。

独身だ。

 

 

ユウタはこじらせている。

周りの友人、中学、高校、大学、の友人はほぼ全員結婚してしまった。

 

 

独身生活が当たり前になり結婚というものがもはや彼にとっては必要なものかどうかも分からない。

日々様々な女性と出会い、毎日が楽しい。

そんな独身を横臥しているのが主人公のユウタ。

 

 

もっぱら取引先との会食や友人との飲み会、出会いを求めての食事会、気になる女性とのデート等で外食がほとんどだ。

そんな彼だがあることがきっかけで今後の独身人生が大きく変わるのであった。

 

 

その日ユウタは経営者仲間のダイチの家で花火を鑑賞しようという毎年恒例の企画に誘われていた。

北千住の高層マンションからは隅田川の花火大会が非常にいい塩梅で鑑賞できる。

 

 

いつものように酒屋で最近お気に入りのペリエ ジュエのシャンパンとグースアイランドのIPAを差し入れに買いダイチの家に向かう。既にダイチの家には女性二人が到着していた。

 

 

早速全員で自己紹介。

 

 

女性は二人とも26歳でダイチが以前EDMフェスで出会った子とその友人とのことだった。

大手保険会社の事務職に勤めているマイと広告代理店勤務のサキ。

 

 

さすがのダイチクオリティ。

常にこのレベルの女性に囲まれているダイチは特定の誰かと結婚するとか全く興味がないのだろう。

ユウタは自分のことを棚に上げていることには一切気付かない。

 

『じゃあ乾杯しようか、ユウタの持ってきたシャンパンから開けようか』

切り出すダイチ。

 

『え、このボトル可愛い!初めて見た』

食いつきよし。ボトルの可愛さもこのシャンパンのウリである。

 

『このシャンパン美味しい!』

食いつきよし。ペリエ ジュエを飲んだマイとサキは大喜びだ。

 

上質なシャンパン、それでいてドンペリのような成金をチラつかすいやらしさもなく、

最近ユウタはこのシャンパンをホームパーティーやちょっとした手土産に重宝していた。

普段はハイボールや焼酎を飲むのだがこういった場では泡がやはりしっくりくる。

 

 

『このビールもパッケージおしゃれですね!可愛い♡』

ユウタは計算通りの女性陣のリアクションに笑みがこぼれる。

 

 

糖質を極力控えたいユウタはビールも最近ではほとんど飲まない。

ただたまに飲むビールは本当に自分が好きなものを、と考えている。

 

それがこのグースアイランドのIPAだ。

元々IPAを好んで飲んでいたのだが、ここのIPAは別格と感じた。

ホップの苦み、そこから口の中に広がる清涼感、飲みごたえ、表現が難しいがとにかく自分好みのIPAに出会った。

更にこのパッケージも可愛くこれまた女性ウケがいい。

 

ユウタはサキを気に入った。

ショートカットが似合う小顔で愛想のいいユウタのストライクゾーンど真ん中だ。

 

花火を見ながら会話も弾み、簡単なオードブルをつまみながらお酒も進んでいた。

そんな時だ。マイがおもむろにサキに話かけた。

『なんかラーメンとか麺類食べたくなってきちゃったね笑 花火ももう終わるから帰り食べて帰らない?』

『そうだね、帰りにお店寄って帰ろうか♪』

 

ユウタは思わず口に含んでいたビールを吹き出しそうになってしまった。

時計を見ればまだ20時半、夜はこれからじゃないか。

この界隈で美味しいラーメン屋なんてあるのだろうか。

 

そんな時だ。ダイチがおもむろにキッチンに立った。

 

『マイちゃんさ、蕎麦は好き?お取り寄せで美味しい蕎麦があって最近ハマってるんだよね。よかったらそれ食べてみない?』

お取り寄せ?ユウタは戸惑った。

 

『えー!お蕎麦お取り寄せするなんてなんか通って感じでかっこいいです!食べたい♡』

マイのわがまま要求を一瞬で解決するダイチ。

 

 

お取り寄せ 魔法の言葉なのか。

 

 

『長野のメーカーで色々こだわって作っていてすごく美味しいんだよ。信寿食ってブランド。夏限定のカレーつけ汁もあるからぜひ試してみて』

 

 

『すごく美味しそう♡頂きます』

序盤のドリンクの食いつきとは比較にならない二人。

 

『美味しい!こんな本格的なお蕎麦ってお店でしか食べたことない!ねえサキ、すごく美味しいね!』

『ほんと!すごく美味しい!しかもカレーのつけ汁が夏っぽくてすごく美味しいです♡ダイチさんすごい!』

 

 

ダイチのファインプレーにより女性陣の早期離脱は免れその日の会は大盛り上がりで幕を下ろした。

女性陣をUBERで自宅まで送り、ユウタとダイチはマンションに戻り、蕎麦湯を焼酎で割りながら今日の反省会をはじめた。

 

 

ユウタはあの蕎麦は一体なんなんだ。お取り寄せってどういうことだ。ダイチに詰め寄った。

『いやさー、そりゃ自宅でホームパーティーしてすぐ来るような女の子は場慣れしてるわけじゃん?

そんな子にいくらいいシャンパンとか酒飲ませてもたかがしれてるわけよ。』

『もちろんポイントは高いよ。最初女の子達めちゃくちゃ喜んでたもんね。でもなんつうか普通なんだよね、それじゃ』

『ああいうモテる子達はいつも美味しい飯屋にも連れて行ってもらってるでしょ?

だからある程度舌も肥えてるし店の知識もあるでしょ。そうなると意外性をもって攻めるのが有効なんだよ』

『だからこういうホームパーティーなんかで、みんなが知らないような本当に美味しいものを取り寄せて

サプライズで出すのが有効だったりするんだよね。その為に研究の為月20万ぐらいお取り寄せしてるし』

『お洒落な店とか、流行ってる店知ってるのもいいけど、やっぱ男は本当に美味しいもの知ってなきゃだめだと思うんだよね。』

 

 

『ユウタ、おまえ、美味しいもの知ってるの?』

 

 

こうしてユウタはお取り寄せ男子となる事を心に誓ったのだった。

 

 

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